Microsoft Teamsで外線電話を導入しました(事前検討と選定編)

Microsoft Teamsで外線電話を導入しました(事前検討と選定編)

この度、自社の外線電話も含む電話環境を、全てMicrosoft Teamsに統一しました。
最終的に導入することに決めたのはソフトバンクから提供されている「Microsoft Teams」向け音声通話サービス「Unitalk」です。

小さい会社ながらも電話環境に負を感じており、今回Teams電話のUnitalkを導入したところ、とても便利になりました。

本記事では、この「Unitalk」を選定するまで、そもそもの導入経緯や導入に当たって検討したこと、また現在日本において提供されているTeams外線電話のサービス比較など、バックオフィス担当者の視点で順を追ってご紹介したいと思います。

今回は「事前検討と選定編」です。

会社の電話環境で負に思っていたこと

つらつらと導入経緯を書いていくので長いです。
そんなことよりTeams電話サービスの比較が見たい!という方はこちらをどうぞ。

元々の電話環境は、外線電話はとあるIP電話サービスで契約した03番号と、個人の携帯番号は別のIP電話サービスで050番号を使っていました。

利用しているサービスが使いにくい

03番号で使っていたIP電話サービスは、サービス独自の専用アプリを各人がスマホに入れて受発信します。受発信できる人は1名で、アプリから切り替えることができます。
固定電話機も別売りの専用ターミナルアダプターを購入すると利用できました。また同じ番号でFAX受信(添付ファイルとしてメールに転送)が使えました。こちらのサービスは、一人が受電して完結する場合は便利ですが、転送や保留などのいわゆるPBX的な使い方ができません。そのため、人数が増えてくると不便な面が出ていました。
良くも悪くもシンプルなサービスでした。

050番号で使っていたIP電話サービスは、実はBYOD+クラウドPBXで、03番号でも設定可能だしPBXなので機能は色々ありましたが、一旦個人に割り振って導入はしたものの、全然使っていないし使われていなかったのです。そのため、当初はこちらを整えて活用するつもりでした。
しかしながら、使われていない理由もありました。管理画面での設定が分かりにくかったり、個々人で入れる電話アプリは推奨されているいくつかの汎用アプリを選んでいれるのですが、動作が不安定なのと設定が分かりにくかったり。AndoroidとiPhoneで共通のアプリがないのも情報共有ができないところで地味に使いにくかった。
要は機能はあっても運用周りが少し不便で、活用するレベルまで理解するには勉強コストが高かったということでしょうか。

IP電話は通話品質がイマイチ?

従来の固定電話に比べると、使っていたIP電話サービスは相手から聞き取りにくいと言われることが度々ありました。
仕組的にインターネット回線に依存している為回線混雑などの影響等はありますが、昨今のIP電話の品質は、特に03番号については携帯電話レベルと言われており、そんなに悪いものではないはずです。その為、これは通話品質というより電話アプリの品質問題だと思います。
たまに使う電話で通話品質が悪いと、BYODのため普通の携帯電話回線を使ってしまうのですね・・・これではサービス加入している意味が無くなってしまいます。

その他代表外線電話を変える気にならなかった理由

電話環境に負を感じつつも、なかなか変えなかったことには他に3つの理由がありました。

  1. 使用していた代表外線電話番号がナンバーポータビリティに対応していなかった
  2. 代表外線電話番号を変えることにより発生する各方面の手続きが面倒
  3. 実は緊急性が無い

使用していた代表外線電話番号がナンバーポータビリティに対応していなかった

今まで使っていた代表外線番号は非常に語呂がよく、気に入っていたのです。
でもこの番号を取得したサービスでは、ナンバーポータビリティに対応していませんでした。そのため、もし代表外線電話を変えるとすると、全く別の番号を取得することになります。

代表外線電話番号を変えることにより発生する各方面の手続きが面倒

代表外線番号を変えるとなると、取引先へのアナウンスはもちろん、社会保険や各利用サービスなどで登録している電話番号も変更しないといけません。小さい会社でもそれなりに取引の数はありますので、地味に面倒なことだったりします。

実は緊急性が無い

電話はバックオフィス業務以外では現状あまり使われていないようでした。
昨今は、社外業務も社内業務も、ほぼ電話以外のコミュニケーションツールで賄われている状況。会社に掛かってくる電話はほぼバックオフィス関連の電話。

あれ、必要なのって誰だっけ・・・?
・・・これはまた別の問題(?)なので一旦置いて、業務に使用されていないのであれば優先度は低くなりますよね。

代表番号を含む全ての外線電話をTeamsに集約しよう!

しかしながら、担当者の手が少し空いたときに、ようやく重い腰を上げて電話環境を整えることにしました。

何に変更するか(システム)

050番号で使っていたサービスを整理して利用するかとも思いつつ、代表が以前から興味を持っていたMicrosoft Teams電話(「Microsoft Teams」向け音声通話サービス)を使いたいという話が出ました。Microsoft Teamsはすでに自社ではメインのコミュニケーションツールとして活用しており、取引先でも導入する会社が増え、社内外でTeams活用が進んでいた時期でした。
実は以前もTeams電話を検討したことがありましたが、その時はうちが持っていないOfficeのライセンス(大企業向けの高額なE3,E5)が必要だったため、サクッと諦めていました。

そもそも前述した「使いにくい」「通話品質が悪い」という2大負がクリアにならないと意味がないわけですが、Teams電話ではこれらがクリアになりそうだ、と。
Teams電話についての詳しい話は下記の記事が参考になりました。

「Microsoft Teams+FMC」で、PCは電話を飲み込んでしまうのか?:羽ばたけ!ネットワークエンジニア(24)(1/2 ページ) – @IT

Microsoft Teams に UniTalk を入れたら何もかもが素晴らしすぎた! – Speaker Deck

今回改めて調べてみると、日本の複数の通信会社がサービス提供を開始しており、ライセンスもオプションライセンスを購入すれば高額ライセンスは不要らしい、ということを知り、電話も含むコミュニケーションが全てTeamsに集約され、毎日の業務で使っているTeamsで代表電話も取れる、外線電話も掛けられる、転送もできる、となれば、とても便利!ということで、Teams電話で行くことに決めました。

変えるとなったら検討事項は5つ

  1. どのTeams電話サービスを導入するか
  2. 電話番号はどうするか(03,050)
  3. いつ切り替えるか
  4. FAXはどうするか
  5. 法人の代表電話番号変更に伴う必要な手続きは何か

どのTeams電話サービスを導入するか

こちらは各社サービスを調べる&問い合わせてみてから。そもそもサービスに違いがあるのかどうか、導入の手軽さ、金額、導入後のサポートなどが要点です。

電話番号はどうするか(03,050)

代表番号ということでやはり03番号にこだわっておりましたが、現在は社内業務以外ではほぼ電話を使わない業態の為、この際050でもいいか、という気分に。
後述しますが、結果としては個人に割り当てた番号含めて全部03番号になりました。

いつ切り替えるか

代表番号なので、繋がらない期間があるのはNG。先にTeams電話を契約して平行稼働することにしました。
既存の電話番号は解約日まで常時留守電にし変更した旨をアナウンス、各種変更手続きが終わったら既存のサービスを解約することにしました。

FAXはどうするか

既存の電話サービスの付加サービスで利用していたため、電話サービスを解約してしまうとFAXも利用できなくなります。
弊社の業務でFAX受信が必須なものってなんだろう、と改めて考えてみると「ほぼ無い。」という結論に達し、この際FAX自体を廃止してしまうことにしました。
まれにFAX送付が必要なものもありますが、その時は送信専用の単発サービス「秒速FAX」を引き続き使うことに。

ちなみに、Teams電話で一緒にFAXも付けられれば良しでしたが、Teams電話サービス各社への問い合わせ時に一緒に聞きましたが、すんなりと導入できるものはありませんでした。

法人の代表電話番号変更に伴う必要な手続きは何か

リストアップしてみたところ、ざっと下記になりました。

  • 取引先へのお知らせ
  • 社内システムの更新(会計、勤怠システム等) 
  • 登録電話番号の変更手続き
      • 健康保険・厚生年金
      • 銀行
      • クレジットカード
      • 賃借物件管理会社
      • 保険会社
      • 利用しているWebサービス
      • 購買サイト
  • 名刺の作り直し

主要取引先へは請求書送付時にお知らせし、他は各担当者から必要に応じてお知らせしてもらうことにしました。
健保年金は登録事業所の電話番号変更の場合は届出が必要、税務署・労働保険は不要でした。

参考:日本年金機構 事業主の変更や事業所に関する事項の変更があったときの手続き

外線電話を受発信できるTeams電話サービス3社

会社の外線電話をTeams電話にしよう!と決まったところで、「Microsoft Teams」向け音声通話サービスの選定です。
現在、日本ではソフトバンク・KDDI・NTTコミュニケーションズの3社が提供しています。

なお、Microsoft Officeの自社環境は「Microsoft 365 Business Standard」です。

3社の違い

3社とも、電話機能は大元のTeams電話に依存するので電話機能に差はありません。
違いは、料金体系が若干異なること、03番号の提供があるかどうか、導入時の設定をどこまでやってくれるか(特に、Windows PowerShellによるTeams IDと電話番号の紐付け設定作業)、等でした。
プラス、担当者が頼りがいがあるかどうか、という印象。。

ソフトバンク | Unitalk

ソフトバンクが2019年8月からサービス提供を開始した日本初の「Microsoft Teams」向け音声通話サービス「Unitalk」です。
サービス開始時は固定電話番号(0AB-J番号※[03]や[05]番号のこと)での発着信のみでしたが、その後050番号も可能になりました。

特徴はシンプルな料金体系で、03番号(0AB-J番号)は国内通話料込みで月額800円です。
また、導入時の初期設定は、PowerShellの作業はデフォルトでソフトバンク側の作業となり、ユーザー側の作業はライセンス付与と開通後のTeams電話設定のみでした。
コミュニケーションとしては、問い合わせ後、基本メールのやり取りのみで開通まで完結しました。

初期費用と月額料金(試算)

回線調査費用は結局掛からなかったような・・・

 

UniTalk | 法人向け | ソフトバンク
日本初、「Microsoft Teams」向け音声通話サービス「UniTalk」を提供開始 | プレスリリース | ニュース | 企業・IR | ソフトバンク

NTTコミュニケーションズ | Direct Calling for Microsoft Teams

NTTコミュニケーションズが2019年12月からサービス提供を開始した「Microsoft Teams」向け音声通話サービス「Direct Calling for Microsoft Teams」です。
当初は050番号だけでしたが、その後企業向けIP電話サービス「Arcstar IP Voice 」と合わせて利用することで03番号などの0AB-J番号も利用可能となりました。

料金は初期費用にMicrosoft365 E版ライセンスが1ライセンス必要です。
また、月額費用は、利用料+通話料(従量課金)となります。
導入時の初期設定は、設定代行サービスがありますが、PowerShellの作業のみで5万円!かかります。マニュアル提供はあります。
03番号などの0AB-J番号も「Arcstar IP Voice 」と合わせて利用することで可能ということですが、別途契約が必要であり、
問い合わせ時に確認したときはコロナ禍ということもあり、かなりの時間が掛かってしまうようでした。

通話料は従量課金です

初期費用と月額料金(試算)

Direct Calling for Microsoft Teams | NTTコミュニケーションズ 法人のお客さま
ニュース 2019年9月27日:NTT Comと日本マイクロソフトが働き方改革ソリューションに関する連携を拡大 | NTTコミュニケーションズ 企業情報
ニュース 2020年6月18日:「Microsoft Teams」上でオフィスの電話番号を利用したテレワークを実現する「Direct Calling for Microsoft Teams」新機能の提供を開始 | NTTコミュニケーションズ 企業情報

KDDI | Cloud Calling for Microsoft Teams

KDDIが2020年7月からサービス提供を開始した「Microsoft Teams」向け音声通話サービス「Cloud Calling for Microsoft Teams」です。
サイトでは「050」番号のみの記載ですが、問い合わせベースで03番号などの0AB-J番号も提供可能のようです。

料金は初期費用が基本登録料とMicrosoft365 E版ライセンスが管理用に2ライセンスが必要です。
また、月額費用は基本料+Calling番号利用料+通話料(従量課金)となります。
電話番号は別途料金はかかりますが、空いてる番号から指定できるのはKDDIだけです。
導入時の初期設定は、PowerShellの作業からユーザー側の作業となり、KDDIはマニュアル提供+分からなかったときの電話サポートのみとなるようです。

問い合わせ後、窓口担当営業の方とSE担当の2名体制でweb会議にて案内を行って頂きました。
導入後設定等のサポートも営業とSEでサポート、障害窓口は別途ありとのこと。お話自体は一番分かりやすかったのでサポートは心強い印象です。

KDDIは昔ながらの法人顧客が多いのか、まだTeams導入していないお客様も多いらしく、本サービスを紹介する際にTeams自体の説明に苦慮しているという話が印象的でした。

初期費用と月額料金(試算)

通話料は従量課金です

Cloud Calling for Microsoft Teams | サービス | 法人・ビジネス向け | KDDI株式会社
テレワーク環境下でも企業の固定電話を利用できるクラウド型の電話サービス「Cloud Calling for Microsoft Teams」を提供開始 | 2020年 | KDDI株式会社

3社比較のまとめ(補足)

  • 03番号はKDDI,ソフトバンクで可能、NTTコミュニケーションは別サービス加入で設定可能
  • 03番号が欲しければKDDIかSoftbank(NTTコミュニケーションズは別サービス導入になるので時間が掛かる)
  • 番号指定はKDDIのみ可能
  • 管理専用アカウントとして365のE版ライセンスが必要(KDDIは2ライセンス、NTTComは1ライセンス、ソフトバンクは不要)
  • E版ライセンスは設定後にIDだけ残してライセンス削除が可能
  • 設定代行メニューは標準ではNTTコミュニケーションズのみ有りだが、設定マニュアルがあるので顧客側で対応可能とのこと(NTTはあまり頼む人はいないらしい、KDDIは顧客で出来ると思うと言っていた)
  • サポートの印象(あくまでも筆者の印象です)
    NTTコミュニケーションズは対応おぼつかない部分あり、KDDIは窓口担当+プレセールスSEの2名対応で話通じやすく分かりやすい、ソフトバンクはメールやり取りのみだが簡潔で分かりやすかった。
  • 1か月ごとで解約可能(なので気軽に導入できる)
  • 3社とも対象ライセンスは各ベンダーからの購入に切り替える必要あり(リセラーチェンジ・承諾)
  • 自社のライセンスはMicrosoft 365 Business Standard(年払い)なので、導入時に切り替えた後、年払いライセンスを対象ライセンス数のみ解約手続きが必要(日割りで返金される)

※2021年4月時点

ソフトバンク Unitalkに決めた!

3社比較した結果、ソフトバンクのUnitalkで03番号を5回線(代表番号1回線+個人ダイレクトインで4回線)取得することにしました。

決めたポイントは、通話料込みの料金設定と、03番号がすんなりと取得でき、導入時の初期設定がデフォルトになっている、という点でした。
また、最初は代表番号だけを03番号にするつもりでしたが、どちらも違いなく取得できるという場合であれば、050番号よりも使い勝手がよかろうという判断になりました。会社によっては050番号は着信拒否している場合もあるとか。

長々と書いてまいりましたが、事前検討と選定編は以上となります。
もし導入を迷っている方がいらっしゃったら、コストも低く1か月毎で解約も可能なので、気軽に導入されてみてはいかがでしょうか?

※自社で検討していたのは2021年4月の段階です。実際に導入される際には各社へ最新情報をご確認ください。

ここまでお読みいただいてありがとうございました!

 

投稿者
Kakky
とある会社のバックオフィス担当。 簿記とデータを組むことはどちらもパズル的で似ていると思っている。猫飼い。目下お酒を勉強中。

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